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FITNESS SESSION 企画趣旨

日本全国の健康増進・維持・回復に関わるフィットネス・ヘルスケアやスポーツの指導者及び従事者の方々の心技体の質的向上を図る学習・研鑽・交流の場とし、ジャンルを超えて、ヒトの身心を活性化するメソッドの最良の情報を提供することを目的とした講習会(カンファレンス)です。

毎年、各分野における日本を代表する講師陣が、当会が掲げるテーマに適合したプログラム(講座)を多数、公開しており、参加者は全国各地から、経験豊富で意識が高く、一般の方々にも影響力のある指導者・関係者が多く集い、厚生労働省認可の公益財団法人健康・体力づくり事業財団や公益社団法人日本フィットネス協会をはじめ、数多くの関連教育団体様から資格継続教育の対象として、毎回、講座を数多く認定頂いていることが特徴的です。最近では、運動指導者だけではなく、健康に深い関心を持つ一般の方々の、そして、医療・介護関係者などの参加も漸増し、参加者層は益々、拡大傾向にありますが、単なる専門知識や技術の切り売り―営利第一を目的とするのではなく、純粋に、時代や社会のめまぐるしい変化の中においても、真に人々の抱える健康上の問題解決の一助となること、そして、QOL向上につながる提案をしていく会を目指しています。

昨今、社会保障制度の危機、特に健康保険制度の事実上の破綻・・・予防医療の実現という流れの中で、多くの人々の間で健康への関心がより高まり、様々なメディアを通じて、あらゆるジャンルの健康法、関連情報や商品を瞬時に簡単に獲得できるようになったことは、予防医療へ繋がる道筋の一つとして期待するところもありますが、それは同時に情報洪水による新たな混乱を産み出す可能性が増大してしまったとも捉えることが出来ます。相変わらず、これさえ行えば・・、これを摂れば・・、最高峰の○○、最先端の○○、これまでの常識を覆した○○等・・・、しかし、それで本当に問題の解決にまで至ることができるのでしょうか?

FITNESS SESSIONは、これまで、人の身心について、日々更新され続ける科学(スポーツサイエンスや医療系など)と、エビデンスはなくとも、多くの方々が、長い歴史の中で、体現・実証してきた伝統的な身体運用法との、どちらかに偏ることなく、興味深いものは積極的に紹介し、客観的考察と検証もしてきましたが、改めて、原点回帰・・人の身体構造・機能、そして重力の環境下での生活を洞察し、進化学、発達運動学、機能解剖学、生理学、心理学、物理学、社会人類学等を包括的に捉え、人の身心の健康の基本原理となる答えを見出していくことを目指し、今後も開催していくつもりです。古来より伝わる養生法、施術法、ボディワークや武術、伎芸等の中にも、未だ色褪せることなく、人間の根源的な動き、そして、それに相関する心の在り方についても洞察した素晴らしい叡智や技法が数多く残されていますが、今を生きる私達は微力ながらも、最新の科学と共に、そうした巨人達の肩の上に立った探求・学習を続け、整理統合をしていく中で、より良いものを、後世に伝承をしていかなくてはならない・・、そして、FITNESS SESSIONが、その一翼を担うことが出来ればと考えています。
 


FITNESS SESSION 2020(第33回)テーマ

地球上の全ての生物は、重力(Gravity)と共存し、そして、利用して生きています。ヒトも誕生と共にその影響を受け 約1年間かけて、起き上がり、立ち、歩きだすまでのプロセスが、その後の全ての動きの基盤になると云われますが、 重力下における神経ネットワークの成熟と並行して、重力と釣り合いをとる抗重力(Antigravity)構造の使い方を学習 していくのです。抗重力筋(Antigravity Muscle)は、重力に拮抗して立位姿勢を保持する重要な役割を果たしますが、 抗重力筋とその拮抗筋を含め、姿勢筋とも呼ばれています。ヒトの身体はブロックの積み重ねの様な構造ではなく、 筋と骨の張力のバランスにより成り立っているので、圧縮力と張力の力の釣り合いにより自己安定する構造システム を指す建築的概念であるテンセグリティTensegrity構造であるとも云われているのです。
 
このように「身体を全体として一つ」として捉え、重力と上手に協調し張力を調整していくことが出来れば、疲労する ことなく、楽に姿勢を保つことができるはずですが、個々人の成長と共に、親の動きや環境、文化、仕事や生活習慣等、 様々な後天的要因の影響を受け順応していく中、次第に独自の動作パターンが形成されていくようになり、ある局所に 力(筋緊張等)がかかってしまう、そしてそれが身体全体に変化をもたらし、歪みを生むという事が多々起きてきます。 身体構造の基礎に矛盾した動きは、気づかぬ内に身体を壊すことに繋がっていきます。
 
そしてそれは実際に、それは日常生活の中だけではなく、本来は健康の増進のために行われているヨガ、ピラティス、 ダンス、ストレッチ、ウエイトトレーニングなどのエクササイズやスポーツを行う中でも起きている場合があります。 逆に、武術や伎芸の達人といわれる人達は、この「重み」を最大限利用し、見事なまでの身体づかいをしています。 このように、重力下における、「重み」・・床反力、体重移動、加重・抜重などを上手く扱うことは、身体に負担を かけずに楽に生活をする、ヒト本来の自然な動きのコツになるのです。
 
日常生活動作、スポーツやフィットネス、医療や介助など、あらゆる分野における指導者、従事者、施術者にとって、 重力-身体構造と動きの基礎を正しく理解した上で、全ての動きを分析し、評価・修正していく能力を高めること、 そして、適切なサポートをしていくことは、最早、必須条件であるといっても過言ではないでしょう。 第33回フィットネスセッションは、『重力 Gravity』をテーマとし、重力下での動きの原理原則を明確にし、最終的に、 個々人が、おかれた状況に適合したものに応用していき、主体性を持った、楽な動きを体現することに繋がる方法を 探求していきたいと考えています。先ず、客観的に基礎を知る、見極める、そして個に適合したものに応用し、 体感を通して動きに繋げていく・・・・・それを積み重ねていくことにより、自分に合った方法を見出し実践すること、 それが理想のFITNESSであり、そしてそれを導いていくのが、指導者の役目なのではないでしょうか?